『怪物』映画ネタバレ感想!羅生門みたいな多視点から描く実験作

昨日、カンヌ映画祭で脚本賞を取った是枝監督の「怪物」を観に行きました!!

今映画の脚本チームに参加させてもらってるので、勉強にもなると思ってわくわくでした^^

感想ですが、ものすごくよかったところと、少し残念だったところに分かれました。

今日は今話題の「怪物」の感想を書いてみようと思います!

『怪物』映画ネタバレ感想!羅生門みたいな多視点から描く実験作

映画「怪物」の物語の発端を簡単に書くと、

「ある町の小学校で、先生が子供に体罰をしているかのような事件が起き、
シングルマザーの麦野早織は学校に詰め寄せるのだが、、」

といった感じで始まります。

そして「お母さん」「先生」「子供」の三つの視点で順々に描いていき、
真相というか、それぞれの人が見る視点のズレというかを暴き出していきます。

この手法は、黒澤明大監督の「羅生門」が切り開いて、世界各国で引用された手法ですが、
羅生門のように作られていると思うので、そういう見方をしてみました。

Aさんが見ている世界と、Bさんが見ている世界では、かなりの相違があって、
事実さえ頭でデフォルメされていてひん曲げられている、という感じでは見てみたのですが、

それでも、あまりにも、この作品はつじつま合わせというか、
客を引っ張るための餌のように感じてしまう部分もあって、
「う~ん、これが世界のカンヌの脚本賞?」と思ってしまったのが正直でした。

「脚本賞」というよりも「実験作」で、少し実験に失敗してしまった作品というか。。

でも映画ってこういう見方をすると、「なるほど!だからこういう風に描いてたんだ!」が分かって、
じぶんの作品を見る評価がガラリと変わってしまうことがあります。

なので、もう少しググったり、youtube見たりしてみようと思いますし、
なにか見方のヒントがあれば、ぜひ教えてください!!

銀河鉄道の夜みたいな瑞々しい子供の描写

そしてこのつなぎ目の違和感を払拭するほどよかった点は、それぞれのお話だったと思います!

特に子供の視点のエピソードは、みずみずすぎて、本当によかったです!!

はじめは教室でイジメがどうも起きてるらしい、というところまでしかわからないのですが、
だんだん明確になってきて、星川依里くんという女の子のようなかわいい少年がいじめられていて、
麦野早織の息子の湊は依里くんを助けたいけど、クラスの同調圧力に負けてなかなか助けられない状況でした。

でもだんだんと、みんなの見えないところで湊と依里くんは仲良くなっていく。

これって観てる時は気づきませんでしたが、「銀河鉄道の夜」がモチーフなんですね!

廃墟に捨てられたバスだか電車を二人は秘密基地にして遊ぶのですが、
ぼくらも中学の時に公園の裏に穴を掘って基地にした思い出を思い出して、懐かしくなりました~。

ふたつの作品が重なり合って、かなりいい感じでした。

是枝監督はこれまでいろいろ観てきて、「誰も知らない」がじぶんの中で最高傑作だけど、
子供の描き方はものすごく愛情がこもってて、自由で、今ある苦難の環境なんか吹き飛ばすくらいのパワーを持っています。

今回はカンヌ脚本賞と、ちょっと持ち上げてしまって、ハードルが高くなってしまったので、
「う~む」という感じになってはしまったのですが、いつもの誰も悪者にしない愛ある視点は健在でしたし、
これからも「世界のコレエダ」として活躍してほしく、とても応援しています♪

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